火照った顔に貼り付いた前髪をかき上げてやると、潤んだ瞳がクリスを見上げた。
辛そうに背にしがみつくレオンの腕を解き、自分の服を脱ぎにかかる。
10日も抜いていないのはクリスも同じで(クリス自身の企みではあるが)、
かなり前からレオンの乱れる姿に興奮して先走りを滲ませている。
いつもよりデカいクリスのブツを見て、レオンは喉を鳴らして息を呑んだ。顔に昼間見た不安の色が広がるのが分かる。
レオンの身体をベッドの上に起こして、クリスはガチガチに硬くなった自分のペニスを舐めさせた。
「んむ、ん……」
根元まで銜えることが出来ないその太さと長さに、くぐもった声を漏らしながらレオンが貪る。
奉仕するレオンの髪を指で梳いてやりながら、ベッドの上に放っておいたコンドームを手に取り、歯で袋を破いた。
何度も嘔吐きそうになるレオンに、もういいよ、と優しく笑いかけて、クリスは唾液で濡れたペニスにゴムを装着する。
レオンは声で返事を返すことすら出来なくなったようで、荒い息を吐き、身体を震わせてクリスの動作を呆けたように見つめていた。

クリスは革張りのソファに近い感触の、斜めに傾いたヘッドボードに背を預けて枕元に座り足を伸ばすと、
自分の上へ跨ぐように、レオンを招いた。久しぶりに、騎乗位をさせるつもりだ。
腰を下ろす為の支えとして自分の肩に置かれたレオンの手は、汗ばんで、体温の高い幼児のように熱い。
「ゆっくり、腰落として……そう、上手だ」
慣らした箇所にカリまで埋めさせて、「大丈夫か?」と俯いたレオンの顔を下から覗く。
問われたレオンは小さく頷いたが、それ以上腰を落とせないでいた。クリスより断然細い腰が、躊躇うように僅かに揺れる。
リングで根元を絞られたレオンのペニスは痛々しい程膨らんで、赤くなっていた。
そのすぐ下にある、普段より重みを増した袋を、伸ばした指先で軽く揉むとレオンは悲鳴を上げる。
「いっ……うあぁっ!!」
悲鳴と共にレオンの腰が浮いた。その動作でペニスが抜けそうになる。
止めようと、クリスは咄嗟に出した左手でレオンの腰を掴み、下方へグッと押しやった。
それが半ばまで銜えさせてしまう結果となり、レオンは更に大きい悲鳴を上げた。ぼろぼろと、目尻から涙を零す。
「……や……あぁ」
肩に食い込む爪の痛さに、レオンの限界がすぐそこだと理解して、悪戯で巻き付けたガムを剥がしてやる事にした。
硬くなるまで噛んだガムは、薄い皮膚から綺麗に剥がれた。出口を開放された鈴口から、早速先走りが浮かび始めた。
クリスの下腹へ雨漏りのようにパタパタと落ちるそれを、指で掬ってレオンの口元へ寄せる。
「ん……っ」
泣きながら、レオンは差し出されたクリスの指先を舐めた。その悦に入りながらも恥ずかしそうな表情に、愛しさが増す。
レオンの頬と顎を伝って滴り落ちる涙と、口端から漏れる唾液が、クリスの腹筋を濡らしていく。
舐めさせた指をレオンの口からゆっくり抜くと、散々放置していたコックリングへ手を伸ばした。
もう1時間はゆうに着けさせているから、辛さは相当なものだろう。スナップ部分に指をかける。
パチン、と開放の音が鳴ると、少し安堵したのかレオンは大きく息を吐いた。肩に食い込んでいた指先から、僅かに力が抜ける。
同時にきつかった締め付けが緩んだのを感じ、クリスはレオンの腰を支えた左手に力を込めて、最奥まで一気に飲み込ませた。



「ひ……ぃっ!」

引きつったような声は、本当に自分が発しているものだろうか?疑問に思いながら、束の間、視界が真っ白になる。
一気に奥まで穿たれたモノの質量に、レオンはとても我慢できず、根元を開放されたばかりのペニスから白濁を飛ばした。
ぴゅるっと己の顔や胸に勢い良く飛んだ臭く粘る液体は、いつもより濃い。
扱かれずに、只突っ込まれただけで達してしまったのは長年ヤっておきながら初めての事で、レオンは縋るようにクリスを見た。
ぼやけた目で捕らえたクリスは微笑むと、レオンの顔に飛散した精液を指で拭ってくれる。
「……痛い?」
拭った精液を舐め取ると、クリスはそっと訊いてきた。
優しい口調と裏腹に、レオンの中を圧迫するペニスは凶器のようで、正直とてもキツイ。
それでも、泣き言をこれ以上零したく無くて、レオンは左右に首を振って、無理矢理笑みを作る。
涙でぐちゃぐちゃの顔なのに、笑う自分は、端から見ると狂人だろうとレオンは思う。否、もう、狂ってるのかもしれないとも思った。
クリスは目元を細めて笑みを深くする。
下から軽く腰を揺すり、「動けるか?」と続けて訊いてきたので、レオンは行動で示す。
クリスの無駄な贅肉が一切無い腹に手を置き直し、徐々に腰を動かした。
「っ、……ふ……っあぁ……」
「お前が、イイように動いていいから……」
太股を撫でられ、レオンは腰を揺らしながらこくこくと頷いた。
頭の片隅に、またすぐに勃起して、呆気なく淫らにイってしまう己の姿が浮かぶ。



好きなように動かさせていると、突っ込んでいる側としては、より感じさせてやろうという余裕が生まれる。
また昇りつめそうになるのか、時折動きが止まるレオンの、柔らかく質のいい筋肉が付いた太股と脹ら脛をクリスは撫でた。
「ん、ん……っ」
先程射精したレオンのペニスは完全に萎える前に再び頭を擡げ、そり立ち始めていた。
その、手淫を待ち震えるペニスに望み通りの手を差し伸べて、根元からやんわりと握り軽く扱いてやる。先程達した際の残りが数滴先端に浮かんだ。
二回目の射精はすぐにでも出来そうなのが、握った感触で解る。
「レオン……、どうする?このまま自分で動いてイくか?」
恍惚とした顔を見上げると、レオンは腰を動したまま「嫌だ」、と短く答えた。
「わかった」クリスはベッドに伸ばした足を左右に広げ、レオンのペニスから手を離す。
「じゃあ、そのまま逆向いて」
云われたまま、レオンは身体を回そうと試みる。だがいつもより太いクリスのモノを銜えたまま、逆を向こうとしても上手く動けない様だ。
繋がった箇所を軸に片足を浮かせクリスの身体を跨ごうにも、その動作が困難そうだった。
「う、うぅ」
小さく呻きながら、何度も向きを変えようと頑張るレオンの姿に煽られて、内部を更に圧迫している自身の事をクリスは黙っておく。
「ん……ぁっ……」
快楽のスイッチが入る度、こうしてほぼ自分の云うままに動くレオンを見ると、壊れるまで抱いてやりたい衝動に駆られる。
ようやく跨ぐ事に成功して、レオンが背中を見せる。
クリスはヘッドボードから背を離し上体を起こすと、レオンの膝裏を抱え、足を広げて確保したスペースへと降ろした。
自分の膝を立て、腰を浮かし体位を変え始める。レオンが前のめりになった。そのままゆっくり誘導させ、クリスは膝立ちになる。
オーソドックスな後背位となって、レオンは俯せになり腰だけを浮かした。
荒い呼吸を繰り返し肩を震わすレオンの、形の良い尻を擽るようにくるりと撫でてから腰に手を添える。
腰を引いて打ち付けると、自然と逃げようとするレオンの身体を添えた手で阻止し、クリスは前立腺を刺激した。
「っ、ん、あぅ……」
突き上げる度漏れる鳴き声に、クリスの動きが強くなる。ぐちゅぐちゅと濡れた音が二人の荒い呼吸に混ざり響く。
ふと思いついて、クリスは速めた腰の動きを止めた。
「……ふ……、……?」
突然止まった動きに、シーツに埋めた顔を上げてレオンが振り返った。
とろけそうな目に、クリスはウィンクをして返す。そして、クリスを銜えた、いっぱいに拡がったレオンのアナルの縁を、右手の親指でなぞる。
「んっ」
そのまま暫く縁をなぞると、クリスは既にいっぱいな筈のその箇所へ親指を埋めた。
「ーーーっ!!」
逃げるレオンの腰を残した左手で拒み、クリスは舌舐めずりをする。



只でさえいつもより太いクリスのモノをねじ込まれているのに、そこへ5本の指の中で一番太い親指を埋め込まれ、レオンは悶絶する。
「や、ク……リス……!っ、ああ」
堪らず必死で逃げようとするが、がっちり掴まれた腰ではどうにもならず、侵入されるがままとなった。
圧迫感が増して、涙でぼやけた視界がより霞む。
やがてクリスが再び動き始めた。
左手を後ろに伸ばして、腰を掴むクリスの腕を外そうとしても、突き上げる強さに負けて咄嗟にシーツを掴む。
限界以上に入り口を圧迫されたまま、クリスが射精する為の強い動きを繰り返す。もうレオンにはどうにも出来ない。
触られてもいない乳首は厭らしく立って、肌触りの良いシーツの摩擦にすら感じてしまう。

 もう、駄目だ。

 堕ちる。

レオンは目を瞑った。意識が薄らいでいく。
そのまま自分を失ってしまいそうだと思った時、自分の中でどくどくと脈打ちながらクリスが果てたのを感じた。

 ……ああ。

意識を失う前に終わった事に安堵して、レオンは二度目の射精を迎えた。
まさか二度も、後ろへの攻めで射精するとは。完全に狂ってると自分を責めた。
シーツに吐き出しながら、夜が明けるまで、あと何時間だろう。ぼんやりと思う。夏の夜は短い。
指と、果てたけれどまだ熱を持っているペニスが引き抜かれた。散々泣いたのに、それが淋しく感じてレオンは腰を揺らす。
浮かせたままの尻に、唇が触れた。
「クリス……クリス……」
……今更だ。どうせ時間は限られているのだから。
開き直って、思うがままに望みを口にしようとレオンは甘ったるい声でクリスを呼んだ。
「ん?」
片手を差し出すと、クリスは恭しくその手を取り、甲にキスをする。




「……もっと」




掠れ、しかしハッキリと耳に届いたその言葉に、クリスは笑みを浮かべた。返事の代わりにレオンの頭を幾度も撫でる。
「日が昇るまで?」
尋ねるとレオンは小さく頷いた。
日付が変わり、とっくに時効を迎えた禁煙期間だったが、どうやら数時間は延びそうだ。
延びた時効を承諾して、クリスはもう一度レオンの手を取り、キスを落とした。









...end...


□□□□□□あとがきもどき。□□□□□□ シーパラその後。 月/海の『4:00AM』とB/A/K/Uの『隣りにいくよ』を延々リピートで聞いてたら徹夜な勢いで書いてしまいました。 兄貴をちょっとキツめ、レオンを情けないドMにしてしまったので、お口に合わなかったらすみません。 それにしても殆どエロですね……。夏だからね。嘘です。エロは年中無休でいいんじゃないか。成人の主張。 海はほぼ関係ない話に……。orz 頑張って濃厚なHを書いたつもり(自分比)なんですが、どうなのだろう。濃いのかしら薄いのかしらこれ……。 2008.8.14 ≪back