常連様へ、一回限りの救いの手を 赤いバンダナで頭部を覆った戦闘員が手にした、威力を大幅に改造してあるだろうスタンロッドが、 前方を警戒していた青年の後頭部に勢いよく振り落とされる。ばちばち、と嫌な音が耳を突いた。 叫び声を上げる暇もなく、その不意の攻撃を受けた青年は、その場に崩れ落ちる。焦げたような匂いが辺りに漂った。 仕掛けを解き、増員配置されていた場所をようやくくぐり抜けて自分の目前までやってきた米国の使者に、 口元を布で隠した男は憐憫を含んだ眼差しを向ける。 彼は気を失って、ピクリとも今は動かない。 鼻から出血しているようだった。 原因は今の電撃のショックだろう、そう淡々と推測し、商人は手にしていたマグナムの整備を再開する。 幾度か商売上の会話は交わしたけれども、わざわざ手を差し伸べてまで、助ける義理と義務は無い。 鎖が千切れかけたフレイルを手に、メットを被った戦闘員がひとり、遅れてやってきた。 手前の場所に配置された人数の中で、どうやらこの二人しか、生き残っていないようだった。 (あとは片付けたのか……もう少しだったのにな、ストレンジャー?) 商人は声に出さず、意識を失ったレオンに語りかけた。 メットの戦闘員は相当怒っているようだった。 唾を飛ばす勢いで、スペイン語で罵りながら、無抵抗のレオンの手から乱暴にマシンピストルを取り上げる。 マシンピストルを遠くへ投げつけると、次に左胸に装備されたナイフを外した。 そのナイフをも放る。空中で回転しながら、武器商人の店の目印でもある青白い炎を刃に映して、地へ落ちた。 バンダナの方の戦闘員は、何かを思い立ったのか、その怒り狂ったメットの戦闘員に小声で話しかける。 「………」 「………」 会話は商人の耳元まで届かず、どういった内容かは掴めなかった。 やがて、怒りを抑えきれなかったように見えたメットの戦闘員が、冷静さを取り戻したのか、ふいに大人しくなった。 「………」 「………」 ちらり、と会話の合間に、レオンを見下ろす。二人は互いの目を合わせ小さく頷くと、レオンのベルトに手をかけた。 (おいおい、こんなところでそれをするか) 商人は心の中で呆れた声を上げる。 目の前の戦闘員ふたりに、傍観者である商人は存在すら忘れられているようだ。 レオンのベルトを外し、アサルトパンツのジッパーを下げて下着ごと引きずり下ろしていく戦闘員ふたりは、やたら興奮した目をしていた。 店の前でそんな行為は勘弁して欲しいと云ったとしても、訴えはきっと耳には届かないだろう。 戦闘員達の愚行を諫めるのは溜息ひとつ吐くのみで諦めて、商人は武器の手入れを続ける。 脇にスタンロッドを置いて、レオンの肩を上から押さえつけたバンダナの戦闘員が、片手を伸ばしてレオンのシャツを胸元までたくし上げた。 暗い通路に、その日に焼けていない部分の肌の色がくっきりと浮かび上がる。 レオンの足元側に陣取ったメットの戦闘員は、己のズボンのジッパーを下げて、硬くなったペニスを取り出した。 そうして唾をたっぷり手の平に垂らすと、早く入れたいのかペニスに擦り付ける。 ぬちゃぬちゃと音を立てて暫く扱くように擦り付けると、ブーツだけを残したレオンの両足を掴み腰が浮きそうな程持ち上げた。 「ふぅ、フッ……!」 荒い呼吸とともに、意識を失ったままのレオンにペニスを押し込む。 「……、ぐっ……」 急な刺激に覚醒したのか、レオンが身動いで呻いた。鼻からの出血は止まったように見える。 顎と首筋まで滴った血が乾いて肌に貼り付いていた。 意識を取り戻しても、先程のロッドの攻撃でまだ満足に動けないだろう。そういった余裕が戦闘員二人にあるように思えた。 そしてその余裕通りの現状のようだ。 レオンは自分の状況が理解出来たようだが、行為を拒もうとする腕と足は震えていて、何の役にも立っていない。 「……っ、う、く……っ!……離せ……!」 揺すられながら抵抗しようと足掻くその姿に、戦闘員二人は益々興奮していく。 レオンの肩を押さえていたバンダナの戦闘員が、下卑た笑いを浮かべ、露わになったレオンの乳首を片方、指で摘み力を込めて擦り上げた。 「!……っう!……う……っ」 痛さに顔を顰め、レオンが目を瞑る。その刺激で尻に力が入ったのか、良い具合に締め付けてしまったようで、 乱暴に挿入していたメットの戦闘員が嬉しそうに呻く。より強く腰を押し進めた。 「あっ、ああ……」 苦しそうだった声が艶っぽいものへ変わり、高々と抱え上げられていたレオンの足が跳ねた。 いつの間にか勃起していたレオンのペニスがその動きに合わせて揺れ、先走りをレオン自身の腹に滴らせる。 物のように扱われながらも、快楽を見いだす己が嫌なのか、レオンは目に涙を滲ませてしきりに頭を振る。 何度か噛んでしまったのか、唇からは血を滲ませていた。 ふと、そんなレオンと目が合ってしまい、商人は手を止める。 今にも陥落しそうな潤んだ瞳に、自分はどう映っているだろうか。そう商人は思った。 自然と、隠された口元にうっすら笑みが浮かんだ。 笑みを浮かべた事すらわからない筈だが、レオンはサッと商人から視線を逸らした。 反対側に顔を向け、身体は揺さぶられるまま動いている。抵抗は諦めたように思えた。 「っ……ふ、……ん……」 漏れる喘ぎを噛み殺すようにして、縋るものは唯一、土の地面のみ。 地面に綺麗な形の爪を立て、力を込めたその指先は白くなっていた。 肩を押さえていた戦闘員が、レオンの胸元に顔を埋め舌を這わせる。 「うっ!……んんっ」 またビクビクとレオンの足が震えたが、それよりも、そろりと動いたレオンの左手を商人の目が追った。 かろうじて届きそうな位置に置かれていたスタンロッドに、ゆっくりと、犯す相手に気付かれないようにレオンの手が地を這う。 レオンの締め付けに夢中になったメットの戦闘員は、その動きに気付いていない。 届いた、と思った次の瞬間、それはレオンの胸元を貪るバンダナの戦闘員の背に叩きつけられた。 先程と同じような、ばちばち、という音が響く。攻撃を受けたバンダナの戦闘員はレオンの胸の上に崩れた。 電流がそのまま触れていた部分から走ったのか、レオンも、犯していたメットの戦闘員も顔を顰める。 もう一度、ロッドを振り上げる力は出ないようだった。 戦闘員は苦悶した顔のまま、思わぬ抵抗に怒りが頂点に達したのか、レオンのペニスを掴む。 「ひっ、あ、ああっ!!」 ぎゅう、と急所を力一杯握られてレオンが叫んだ。足がバタつく。 握る手に力が更に加わり、レオンの手からスタンロッドが滑るように落ちた。 耳を劈くような悲鳴を聞きながら、今のレオンに、これ以上の抵抗は出来ないだろう。そう商人は思う。 (だが、面白い。面白かった) 商人は手にしていた整備の済んだマグナムの銃口をメットの戦闘員に向けた。 激高している戦闘員は勿論、レオンを嬲ることに夢中で、自分には気付いていない。 (武器の売買以外の手助けは、これが最初で最後だ) 指先に力を込めて、威力の高いマグナムの反動を受けないように、そして狙いを外さないように、ゆっくりと引き金を引く。 パッ。 ドゥン、という重々しい銃声と共に、視界が赤い霧状で覆われ、今にも意識を飛ばしそうだったレオンは驚いた。 血の霧が舞う中、目の前の、自分を犯していた戦闘員の顔の、下顎から上の部分が一瞬で無くなった事に気付く。 一瞬にして絶命した戦闘員の身体が後ろに向かってゆっくりと倒れ、レオンのペニスを握り込んでいた手も外れる。 奥まで蹂躙していた性器も、ズルリと抜け落ちた。 戦闘員の顔の一部であった色んなパーツと、先程までメットだった破片が、霧に混じってバラバラと地面に散らばる。 その惨状から顔を背け、レオンは胸の上の戦闘員を押し退けた。肘でズルズルと後ずさり、やや離れると上体を起こす。 「っ、はぁ、はぁ……」 息を落ち着けると、一体何が起こったのかという顔でレオンは商人の方を向いた。 「……、……?」 その商人の手元を見て、レオンは更に驚く。 レオンの視線に、商人は肩を竦め小首を傾げ、とぼけるような仕草を見せた。 マグナムを卓上に置くと、指先で、放られたレオンのナイフとマシンピストルを示す。 脱がされた衣服を手に取ると、レオンはそれらを拾った。 乱暴にされて腰と腹筋が痛むのか、腹を押さえて、レオンは商人に近付く。 普通の性癖の男でも、このエージェントの今の姿を見たら飛びつくだろうな。そう思いながら、 商人はいつもの口調で声を掛けた。 「ウェルカム、ストレンジャー?」 ...end...
□□□□□□あとがきもどき。□□□□□□ 戦闘員×レオン&微妙に商人×レオン? ん、いいの。需要が無いってわかってる……。自己満足超乙、私。 よくわからないお話で申し訳無……orz 島に移動してから最初の商人のとこのお話のつもりでした。 すぐ先にも敵は居るんですが気付いて無いっていう事で……! 2008.8.10 ≪back