<武器商人の日記>

某日 2004

久々に同胞以外を相手に商売だ!腕が鳴る。
予定している客はアメリカからやってきた青年だ。
張り切って儲けようと思いきや開店前に予想外の客が来た。女だ。
こんな田舎でその派手な赤いドレスはどうかと思うぜ。
そもそも夏は終わってるのに、アジア人には寒くないのか?
俺のコート、貸してやろうか?

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<武器商人の日記>

某日 2004

まったく予想外な出来事は続くもんだ。
アメリカのエージェントって同胞達が云うもんだから、それらしい格好で来ると思っていたんだが。
へっへ、イタリアンスーツを纏って参上とは恐れ入ったぜ、ストレンジャー。気に入った。
思わず取って置きのシカゴタイプライターを店頭に出してしまったぜ。
まぁ値段は下げてやれないもんだから、買わずに立ち去ってしまったがな。
それにしても、ああいう格好が本来のエージェント、なのか?
他の持ち場の商人に聞いてみるとしよう。


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<武器商人の日記>

某日 2004

ぼろぼろに疲れ果てたストレンジャーがやってきた。
手前の場所の敵……俺にとっては同胞だな……に相当苦戦したんだろう。
救急スプレーを二つ売った。
ストレンジャーのアタッシュケースの中身をチラっと見たが、ランカーバス一匹と金の卵が一個あった。
それ最後まで持って行くのか?腐らないのか?ケースの中で卵割るなよ?そう思ったが、俺は商人だ。無粋な事は喋らない。
ストレンジャーは疲労が激しいらしく、俺の店のすぐ横にある木箱に腰掛けて暫く休んでいた。
ハァ、と溜息を落とすその姿がなんとも艶っぽく、美し…… ? ???
????? 俺は何を書いているんだ、今のは無しだ。なんでもない。
さ、もう少し。頑張ってお嬢さんを助けに行くんだ、ストレンジャー。








2008.7.12〜8.21 ≪back